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映画【狂乱の大地】

十三の第七藝術劇場で【狂乱の大地】を観る


狂乱の大地
監督…グラウベル・ローシャ
1967年 ブラジル


あらすじ…

架空の共和国エルドラド。
パウロ(ジャーナリスト&詩人)は
保守派の政治家ジアスに目をかけられていたが
活動家の女性サラと出会い意気投合。
進歩派議員ヴィエイラを知事に担ぎ上げ
貧困と正義のない社会を改革すべく理想に燃える。
しかし選挙に勝ったヴィエイラは、これまでのしがらみにとらわれ、
何一つ変革することができなかった。
失望したパウロは国内一の企業家フエンテスに近づく。
しかし、裏切りにあい再びヴィエイラに接近、
自らの理想社会の為、武装闘争に向っていく…。



感想…

冒頭のシーンからド肝抜かれっぱなし。
回想、現実、幻想シーンが順不同?入り混じり
正直言って最初は何のこっちゃ?

そのうち断片がリング状に繋がり全容が顔を出すにつれ
政治的思惑、権力とマスコミの横暴、情報操作
アナーキズム、民衆の思考停止と政治任せな怠慢、
宗教概念と信者の妄信etc…。(ありがち。)
の中心に立たされた感覚(客観視)に。

主人公パウロと同様、
善悪の判断もできない困惑状態になってしまい
結局、全否定…ってことに。

パウロのやり場のない思いはテロリストへ彼を向わせるが
結局、射殺されると言う何とも言えないジ・エンド。


言うまでもなく政治的、分析、批判的でありながら
狂気じみた原始の匂いもプンプンする濃厚な作品でした。

全体の印象は、お洒落でエネルギッシュ、
映像と音楽の組み合わせも素晴らしく
サンバやジャズ、ヴォサノヴァetc…。
が効果的に使われてたり
十字架を抱きかかえて砂漠を歩くシーンと
原住民がサンバをおどるシーンのコントラスト
パウロが空に銃を向けるシーンはやり場のない情熱を思わせるなど
象徴的な映像ががとにかくお洒落に散りばめられてました。

また、詩人であるパウロの「言葉は無力だ」的なセリフからは
切実な思いが…。政治を動かす大仕事や
革命の大きなウネリを前にすれば
言葉(私は個人の理想と解釈)はあまりにも力足らず。

しかし…終盤パウロはその言葉を情報操作と言う武器にかえて
反撃にでるあたりに恐さと皮肉を感じた。


私の文章力ではまだまだ表現しきれてないテーマと
濃厚かつクールな質感がある作品です。

本当に、本当に、この感覚をお伝えできるだけの文章力が欲しい!
by mamochan-wan-wan | 2011-08-21 20:23 | 映画
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